top of page

アナリーゼ

楽曲分析といわれるこの言葉。
演奏家にとって、楽譜に込められた作曲家のメッセージを汲み取り理解することはとても大切なことです。作曲法や作曲理論から紐解くのも重要ですが、作曲家が生きた時代背景や人物像から想像していくこともできますね。
聴かれる方にもそういった知識があることで、好きな楽曲がますます好きになったり、嫌いだった楽曲がそうでなくなったり…。
私の”おはなし”が、奏でる方、聴かれる方にとって、新たな気付きになるとうれしいです。

#1 ピアノフォルテ
#2 楽譜
#3 練習曲
#4 女性ピアニスト
#5 クラシック音楽史
#6 パガニーニ
#7 バロック
#8 J.S.バッハ
#9 ブラームス
#10 交響曲
#11 リスト音楽院
#12 ショパン国際ピアノコンクール
#13 歌曲
#14 レクイエム
#15 クラシック音楽の「三」
#16 クラシック
#17 絶対音感と相対音感
#18 音名
#19 ビート
#20 リズム
#21 メロディ

#22 メトロノーム
#23 音楽の三要素 
#24 音程 


 

​ピアノフォルテ

皆さん、よくご存じのピアノ。正式名称は「ピアノフォルテ」といいますね。楽器の王様と呼ばれることも。
ピアノは、形而上は鍵盤楽器ですが、弦をたたいて音を出すという点では、弦楽器でもあり打楽器でもあります。
​複数の音を同時に出すことができるピアノという楽器は、14世紀頃に発明されたヴァージナルを起源に持ちます。18世紀になると、今のピアノに近い形になりました。
スタインウェイ&サンズは、低音域と中音域の弦を立体交差させることでサイズの縮小化にも成功しています。
実は誕生して300年足らずの若い楽器なんです。当時は今のピアノと違って壊れることも多く、あのフランツ・リストは1回のリサイタルで3台ピアノを使用したとか。


 

​楽譜

楽譜といえば、今では当たり前の五線譜ですね。作曲家のメッセージが込められた最も大切なものです。
さてこの楽譜、今のように五線譜になったのは、15世紀頃といわれています。そこには音の高低や長短、そしてリズムが記録されるようになりました。
楽譜の普及と印刷技術は密接に関係していて、最古の印刷された楽譜は、活版印刷が発明された後に登場します。


 

​練習曲

エチュードという言葉を耳にすると思います。これはフランス語で、練習曲のことですね。ショパンの練習曲やリストの超絶技巧練習曲が有名です。他にも数々の作曲家が練習曲を残しています。
さて、この練習曲、作品としても完成されたものが多いですが、その目的は、演奏技巧の修得です。
練習曲には反復して技巧の修得を目指す「技巧修得のための練習曲」と音楽的要素を含む「演奏会用練習曲」があります。ショパンやリストのそれは後者ですね。
演奏時間としては短いものが多いですが、演奏技巧の修得を目的にしているので難易度も高く、気を抜くことができない構成になっています。
エチュードを耳にされたら、演奏家の技術を感じてもらえると嬉しいです。


 

楽譜_Chopin_エチュード.jpg

​女性ピアニスト

女性ピアニストといえば誰を思い浮かべますか?
第18回ショパン国際ピアノコンクール(2021年)で第4位に入賞された小林愛実さん。
第7回同コンクール(1965年)の覇者、マルタ・アルゲリッチ。第9回同コンクール(1975年)第2位入賞のディーナ・ヨッフェ。素敵な演奏家ばかりですね。20世紀以降、女性演奏家の活躍は当たり前になってきました。
音楽史に初めて登場する女性ピアニストはクララ・シューマンです。作曲家のロベルト・シューマンの奥さんですね。
1819年にライプツィヒに生まれ、6歳で初めて人前で演奏し、11歳で最初の作品「ピアノのための4つのポロネーズ」を作曲しました。まさに天才少女です。
​女性は教養として音楽を楽しむものとされていた当時、プロのピアニストとして成功した最初の人です。バッハが生まれたのが1685年ですから、クララが活躍するのは140年もあとで、女性ピアニストの歴史はたったの200年なんですね。


 

​クラシック音楽史

歴史では古代、中世、近世、近代、現代と時代を区分しますね。クラシック音楽にもそのような”ものさし”が存在します。
1600年頃から1750年までをバロック、そのあとは1820年頃までを古典派、そして1850年頃までを前期ロマン派、1800年後半を後期ロマン派、1900年以降は現代音楽といいます。
それぞれの区分に明確な年はありませんが、バロックだけは1750年までと確定されています。それは、バッハが亡くなった年を意味します。”音楽の父”と呼ばれるほど後世に影響を与えたバッハの存在がいかに大きかったかが理解できますね。


 

​パガニーニ

リストの「パガニーニによる大練習曲」。第3番のラ・カンパネラはとても有名ですね。さて、このパガニーニとは?
​パガニーニは1782年にイタリアに生まれたヴァイオリニストです。超絶技巧による演奏とその風貌から悪魔に魂を売ったと信じられていました。彼が作曲した「24の奇想曲」と「ヴァイオリン協奏曲第2番」をリストがピアノ曲に編曲したのが「パガニーニによる大練習曲」です。もともとヴァイオリンの曲だったんです。
​ぜひ、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド「ラ・カンパネラ」とリストのラ・カンパネラを聴き比べてみてください。ちなみにカンパネラとは鐘という意味です。


 

​バロック

1600年頃から1750年まで続いたバロック音楽。
​バロックとはポルトガル語で「歪んだ真珠」という意味で、もともとは美術の言葉でした。イタリアで17世紀に流行した美術様式のことを後世の人がバロックというようになり、その時代の音楽を「バロック音楽」と呼ぶようになりました。
​この時代には今のピアノは存在していません。オルガンやチェンバロ、クラヴィコードが活躍していました。


 

J.S.バッハ

バロック音楽といえば、バッハの存在抜きでは語ることができませんね。
バッハは、1685年に今のドイツのアイゼナハの音楽家一族に生まれました。音楽家は職業としての意味合いが色濃い当時、バッハは「宮廷楽団のヴァイオリニスト」や「教会のオルガニスト」、「宮廷作曲家」など様々な職に就いています。その経歴の中で、これまでの音楽を集大成したという功績を残しました。
彼の子供は20人もいて、一族の音楽家は何十人もいるので、「J.S.バッハ」と表記することが多いです。


 

ブラームス

後期ロマン派の作曲家の一人、ヨハネス・ブラームス。1833年、ドイツのハンブルグに生まれた彼は、コントラバス奏者の父親にピアノの手ほどきを受け、演奏や編曲をしながら生活をしていました。
20歳になったブラームスに運命的な出会いがおとずれます。ロベルト・シューマンに認められたのです。
かの有名な交響曲第1番は20年もの歳月をかけ完成した大曲です。曲を聴けば、ブラームスの音楽に対する並々ならぬ情熱と壮大な意思に触れることができます。
​恩人であるロベルト・シューマンの死後は未亡人になったクララ・シューマンを献身的に支えました。クララがこの世を去った翌年の1897年、あとを追うようにして64年の人生に幕を下ろしました。
​生涯を独身で通したこともあって、クララとの仲が噂されるのは何か音楽的な運命のいたずらを感じるように思います。


 

​交響曲

年末の風物詩といえば「第九」でしょうか。正式には「交響曲第9番ニ短調作品125」といいます。古典派を代表する作曲家・ベートーヴェンが1824年に完成させた独唱と合唱を伴う交響曲ですね。ベートーヴェンが残した9つの交響曲の最後の作品で、彼自身は曲にタイトルはつけていません。
交響曲は、4つの楽章で構成されオーケストラで演奏される曲のことを言います。原則、楽器だけで演奏する前提なので、「第九」の登場は音楽史から見るとかなり革命的でした。
​難聴に悩まされ演奏家を諦めたベートーヴェンが切り開いた作曲家という道。楽器だけでは表現できない感情を人の声に託したのかもしれません。


 

リスト音楽院

私が5年間学んだハンガリー国立リスト音楽院についてのお話を少し。
ハンガリーの首都ブダペストにあるリスト音楽院は「ドナウの真珠」といわれるこの地に1875年に創立されました。美しい校舎、多種にわたる楽譜を収蔵した図書館やリストに関する博物館があり、コンサートホールなど多くの音楽施設では毎日のように演奏会が催されます。
​初代総長は後期ロマン派を代表する作曲家”フランツ・リスト”。1811年にハンガリーに生まれました。ショパンとは1歳違いで、ともに社交界では人気を博しました。
​「ピアノの魔術師」と呼ばれ、指が6本あるかのような超絶技巧に注目が集まりますが、リストの音楽の魅力はそのスケールの大きさにあります。交響曲の4つの楽章にとらわれない交響詩というジャンルの創始者でもあり、晩年は技法よりも表現に注力しました。


 

ショパン国際ピアノコンクール

音楽にあまり興味のない方でも「聞いたことがある」というくらい有名なピアノコンクールですね。2021年(第18回)の反田恭平さん、小林愛美さんのダブル入賞は記憶に新しいところです。
ショパン国際ピアノコンクールは、1927年に第1回大会が開催されました。第一次世界大戦後、ショパンの故郷・ポーランドが独立してから9年後にあたります。
​フレデリック・ショパンは1810年、ポーランドのワルシャワ近郊に生まれました。ワルシャワ音楽院卒業後はウイーンを経て、パリに落ち着きます。「ピアノの詩人」と呼ばれたショパンは、多くの作曲家とは異なり、39年の生涯で残した作品のほとんどはピアノ曲ばかりです。
パリで没して故郷の土を踏むことができなかったショパンは、ピアノコンクールの名称を飾り帰郷しました。コンクールはピアノ部門のみで課題曲はすべてショパンの作品です。現存する国際音楽ピアノコンクールの中では最古とされていて
、5年に一度、ショパンの命日である10月17日の前後3週間にワルシャワで開催されています。


 

歌曲

歌は音楽の根源であるように、古代より存在していました。歌い継がれてきた民謡などもその一つですね。一方、1700年後半から1800年初頭にかけて確立されたのが歌曲で詩に曲をつけたものをいいます。
シューベルトは1797年、ウイーンに生まれました。多くのピアノ曲、室内楽曲、交響曲そして歌曲を作曲しました。1828年に31歳の若さで亡くなりましたが、その間に作曲した歌曲は600にのぼります。その功績から「歌曲の王」と呼ばれています。「魔王」や「野ばら」などは日本でも知られていますね。


 

レクイエム

レクイエムとはラテン語で「安息を」という意味で、死者のためのミサの曲のことです。レクイエム作曲中の1791年に亡くなったのが、モーツァルトです。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、1756年にオーストリアのザルツブルクに生まれました。音楽史では古典派の時代ですね。
5歳で作曲をした神童は、オペラや交響曲、ピアノ協奏曲などを手がけ、35年の生涯で残した作品は600とも700とも言われています。
死因は病気や毒殺など様々な説がありますが、今となっては本当のことは分かりません。最後の曲がレクイエムだったことが天才の死をよりいっそう謎めかせてしまったようで
す。


 

クラシック音楽の「三」

ベートーヴェンが作曲したピアノソナタは32番までありますが、その中でも有名な第8番の悲愴、第14番の月光、第23番の熱情をベートーヴェンの三大ピアノソナタといいます。
クラシック音楽には「三」という数字でまとめられる呼称が存在します。世界三大ピアノはベヒシュタイン、ベーゼンドルファー、スタインウェイ・アンド・サンズのことですね。ドイツ三大Bと言えば、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスです。モーツァルトの三大オペラはフィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、魔笛と言われています。
他にも三大ヴァイオリン協奏曲などがありますが、不思議なことに三大ピアノ協奏曲という括りはないんです。


 

クラシック

クラシック音楽というと、どのようなイメージをお持ちですか?「西洋の昔の音楽」を想像されるのではないでしょうか?
クラシックとは「古典」や「古典的」という意味です。「古典」とは、「長く時代を超えて規範とするべきもののこと」です。音楽史ではバロックの次の時代が古典派でしたね。なので、古典派音楽は「規範とすべき音楽」ということになります。
クラシック音楽というとバロックから現代音楽までを総括した概念として用いることが多
いですが、狭い意味では古典派音楽のことを指して使うこともあります。


 

絶対音感と相対音感

例えば、誰かがピアノを弾いていて、耳に入ってくる音が何の音なのか分かりますか?聞いた音の「音名」(ドレミファソラシ)が分かる能力のことを絶対音感といいます。
絶対音感は幼少期におけるトレーニングで身につけることができますが、一般的に5~6歳までが適齢とされています。
一方で、ある音を基準として音の高低を判断する能力を相対音感と言います。相対音感はメロディーの美しさを判断するためなどに使われるもので、特殊な訓練をしなくても備わっている能力です。


 

音名

音名とは、音そのものの名前のことです。何だか分かりにくい定義ですね。楽譜を読むとき、「ドレミファソラシ」と読みます。これが音そのものの名前で、絶対的な音の高さを表しています。
この読み方は、実はイタリア語なんです。日本やフランスで用いられています。英米式では、ラの音からABCDEFG、ドイツ式ではAHCDEFGと表記します。

ちなみに、「ドレミファソラシ」を日本式にするとハニホヘトイロとなるんです。


 

ビート

胸に手を当てると心臓の鼓動が一定の速さで伝わってくるように、音楽にもそのようなものがあります。それは、ビート(拍)といわれるもので、音楽の根底には音の速度や大小に関わらず、ビートが存在しています。
ビートに規則的なアクセントがついたものを拍子といいます。アクセントがつくビート(強拍)の間にアクセントがつかないビート(弱拍)がいくつ入るかで何拍子かが決まります。拍子は一まとまりごとに小節として楽譜に記されています。
オーケストラの指揮者は指揮棒を振っていますね。これは、演奏家にビートを伝えている
のです。指揮棒を振り下ろすことで各小節の最初のビートを示しています。


 

​リズム

楽譜は様々な音符で構成されています。4分音符、8分音符、16分音符…などがありますね。音符は音の長さを演奏者に伝えることも役割の一つです。
演奏の速度(テンポ)によって1拍の長さが変わってくるので、音符の音の長さは、作曲家が指示するテンポによって変化します。
小節の中の形の違う音符によって音の長さに長短が出てくることで、リズムが生まれてくるのです。


 

​メロディ

リズムは音の長短によって発生します。これに対して、音の高低の中で生まれてくるのがメロディです。
リズムとメロディの関係は不思議で、例えば、リズムとメロディを別々にすると音楽にはなりません。
リズムは楽譜における横軸、メロディは縦軸と言えます。この二つが重なったとき、個
性あふれる曲ができあがります。


 

​メトロノーム

楽曲の演奏速度をテンポといい、作曲家はテンポを指定しています。その方法は言葉を用いる場合とメトロノーム記号で指示する2通りがあります。
言葉の場合はイタリア語の速度標語が一般的です。Presto(プレスト)、Andante(アンダンテ)、Lento(レント)など目にしたことがあると思います。
もう1つのメトロノーム記号はテンポを正確に指定するため、1分間あたりのビート(拍)の数を数字で示します。
メトロノームは今から約200年前の1810年代に発明されました。古典派から前期ロマン派に移る頃です。ベートーヴェンも使用したと言われています。


 

​音楽の三要素

音楽を深く理解しようとすると和音と和声という言葉に出会います。和音は「わおん」と読み、2つ以上の絶対的な音の高さ(音名)の違う音が同時に響き合う状態を意味し、コードとも言います。
和声は「わせい」と読み、ハーモニーと表現されます。2つ以上の音名が違う音が同時に響き合っている状態(和音)が楽曲を構成していくために連続していきます。その和音の進行や配置の組み合わせなど、和音と和音の関係を指す概念が和声です。
​音楽は音による芸術ですが、個々の音が音楽になるためには、リズム・メロディ・和声(ハーモニー)という三要素が不可欠です。


 

​音程

音程(おんてい)とは、2つの音がどれくらい離れているのかを表す音楽用語です。つまり2つの音の距離と理解できます。
距離といえば、cmやkmなどの単位が思い浮かびますが、音程では「度(ど)」を用います。下の図は、Cを基準にCからD、E、F、G、A、H、Cまでの距離を示しています。
音を間違うと「音程がズレている」という表現を耳にすることがありますが、音程という言葉の持つ本来の意味ではない使い方と言えます。

 

bottom of page